総コレステロール、すなわち血液中に含まれるコレステロールの全体量は、動脈硬化のバロメーターと言われています。しかしなかには総コレステロールがやや高いのに心筋梗塞や動脈硬化も起こさず、奇麗な血管を保ち続ける人もいます。だからコレステロールの全体量だけではなく、その種類の内訳を詳しく調べる検査が必要になってきます。コレステロールは、脂肪の仲間でそのままでは水に溶けません。このためコレステロールはシュークリームの皮にくるまれたクリームのように、タンパク質にくるまれて血液中に溶け込んでいるのです。このシュークリームをリポ夕ンパクと呼んでいます。

リポタンパクは何種類かの大きさと比重のものが存在していますが、主なものは低比重リポタンパク(LDL)と高比重リポタンパク(HDL)などです。ところがこれらは血液内で全く逆の働きをしています。LDLは、肝臓から血管壁などの末梢の組織へコレステロールを運び出す働きをします。反対にHDLは血管壁に水ア力のようにこびりついたコレステロールをこそぎ落とし、肝臓へ運び込む働きをしているのです。コレステロールルと言えば全て悪玉のように考えがちですが、

HDLコレステロールが血液中に増えることは、むしろ動脈硬化の予防にとって望ましいことです。総コレステロールがやや高い場合でもHDLコレステロールの占める割合が大きければ、動脈硬化を起こしにくいわけです。正常値の目安は40~60mg/dlとされていていますが、これより高くても問題はありません。逆に25mg/dl以下になると、動脈硬化、糖尿病の危険域です。