腸内細菌というのは、腸内を単に流れていくだけではなく、所々で腸粘膜に、わりあい強く結合している。小腸粘膜の表面積は全部合わせると畳約20畳分、約33㎡位あるといわれている。顕微鏡で観察すると、腸粘膜はケルクリングのヒダがあり、その上は「絨毛」という細かいシワが一面にある。この絨毛をさらに拡大して観ると、これがさらにシワになっている。これは「微絨毛」と呼ばれている。だから表面積にすれば、非常に大きくなるわけである。小腸を単に筒と考えた場合、筒内面の表面積は3,3cm2しかないが、実際には絨毛や微絨毛がびっしりあるので畳約20畳分の面積がありから、栄養物や、薬が効果的に吸収されることになる。

せっかく食べた食事の1/3が腸内細菌に変わってしまうといえば、やるせない気持ちになるが、しかしこの1/3はただの投資ではない。腸内細菌は、それに匹敵する恩返しをしてくれている。色々なビタミンを合成しそれを人に与えてくれる。食事にビタミンB、葉酸(ビタミンM)、ビオチン(ビタミンH)等が不足していても安心である。

カスミを食う話ではないが、人体に不足するもの、例えばタンパク質を窒素ガスから合成してくれる。病原菌が腸に入って来ても、細菌同士が戦い、病原菌をやっつけてくれる。また人体の免疫獲得に役立ち、各種病気への抵抗性を与えてくれる。