高ければ動脈硬化、低ければ肝臓病が心配され、動脈硬化を促進する危険因子としては、血液中のコレステロールや中性脂肪が異常に増える高脂血症を最も注意しなければなりません。高脂血症が長く続くと、心臓を養っている冠動脈の硬化が進み、狭心症や心筋梗塞などの引き金になります。そこで、血液中に含まれるコレステロールの量を知っておくことは、動脈硬化を予防する上で重要な目安になります。しかしある程度のコレステロールは、体にとって絶対に必要なものです。だから総コレステロールの値は低ければ低いほどよいというものではなく、まして正常値はゼロではありません。コレステロールは、体の細胞の一つ一つを包んでいる細胞膜の構成分子として欠かせないものです。また副賢皮質ホルモンや性ホルモンが体内で作られる際の骨組みに成ったり、脂肪の消化を助ける胆汁酸の材料になったりしています。

コレステロールは、このように体内で重要な働きをしているので、食物から摂取する以外に肝臓でもかなりの量が作られています。このため、肝硬変や劇症肝炎などで肝細胞の大部分に障害を受けると、血液中のコレステロールが低下し、ときには100mg/dl以下に落ちてきます。総コレステロールの検査は動脈硬化の目安になるだけではなく、重症の肝臓病を知る上でも重要な意味を持っているのです。数値が高い場合は、動脈硬化、糖尿病、ネフローゼ症候群、甲状腺機能低下など、数値が低い場合は、肝硬変、劇症肝炎、甲状腺機能亢進症などがあります。