てんかんや脳腫瘍の診断に役立つ。

大脳が活動するとき、脳の各部には絶えず10~100μV (μVは1Vの100万分

の1)のごく弱い電位差が発生しています。脳波とは、この電位差を頭皮につけた電極から脳波計に導き、増幅して記録したものです。もっとも脳波の本態についてはまだ不明な点が多く、そのため脳波の読み取りは数多くの臨床経験の蓄積に基づいています。

したがって脳波の検査はてんかんなど一部の病気を除けば診断を決定づけるものではなく、あくまでもサポート役と考えておく必要があります。

脳波は、その周波数によって、δ波(0.5~3サイクル)、θ波(4~7サイクル)、α波(8~13サイクル)、β波(14サイクル以上)の4種類に分類されます。成人の覚醒時の脳波は主にα波とβ波で構成され、θ波はわずかですが、熟睡するとδ波が現れます。脳波の読み取りは専門医の手に委ねるべきですが、一般に覚醒時にも関わらず脳全体にδ波やθ波が目立つ場合は、脳の機能低下を示し、てんかん、脳深部の腫瘍、頭部外傷、脳血管障害などが疑われます。ただし老人になると脳波のパターンに変化が起こり、α波の周期が長くなります。