150mg/dl以上は食生活の改善が必要。体内に在る脂肪はコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸の4種類に分けられます。なかでも中性脂肪は、中年になると誰でも気になる皮下脂肪の主成分をなしています。食べ物から吸収された糖質や脂肪のうち、エネルギーとして使わずに余ったものは、全て中性脂肪の形で脂肪組織に蓄えられます。その加工工場は肝臓で、糖質(砂糖や果糖などのほか、ご飯などのデンプンも含まれる)や動物性脂肪(肉や卵などの脂肪)が主な原料となります。

中性脂肪は、ブドウ糖が血液中に不足したとき、エネルギー源として利用されるのですが、蓄積が過剰になると、肝臓に脂肪がたまる脂肪肝や肥満を招きます。こうした肥満の状態では、脂肪組織から中性脂肪が放出され、血液中の中性脂肪も増加します。中性脂肪をタンパク質で包み込んだVLDL (超低比重リポタンパク)は、リポタンパクの中で最も多い割合で存在しています。これはLDLとともに黄色い粥状に成って血管壁にこびりつき、動脈硬化を進める悪玉物質として知られているのです。

肥満はこのように動脈硬化の危険因子となるばかりでなく、高血圧、心臓病、糖尿病など、数多くの成人病が巣くう土壌と成ります。中性脂肪の値を目安に、過食を避け、適度の運動を心掛けることが必要でしょう。1日での数値の動き方を見ると、血液中の総コレステロールが1日を通じてほとんど変化しないのに対し、中性脂肪は食後2~3時間に著しく上昇します。例えば1杯のラーメンを食べれば、そこに含まれる油脂分だけ中性脂肪が増えるといってもいいほどで、ときには400mg/dlを起えることもあります。従って中性脂肪の検査は、朝食抜きで空腹時に行うことが鉄則です。数値が高い場合は動脈硬化、糖尿病、ネフローゼ症候群、粘液水腫など。数値が低い場合は肝臓病、甲状腺機能亢進症、アジソン病などが考えられる。