植物の性質機能の一つに、例えば、波柿をリンゴのそばに置くだけで、その渋味が抜けるというのがあります。渋柿5~6個とリンゴ1個をポリ袋に入れて置くと一層の効果があります。一週間程で渋柿はすっかり甘柿になってしまいます。そしてリンゴを一緒に入れないと、渋柿は渋柿のままです。

この現象を植物のアレロパシーと呼んでいるのですが、その秘密はエチレンにあります。エチレンは植物を開花させたり、果実の実を熟させたりする力を持っています。これを応用したのがバナナを黄色くさせる方法です。輸入時青いバナナを、陸揚げしてからエチレンで処理すると瞬く間に黄色く熟成します。植物自身このエチレンを自家生成して、ガス体で発散させているわけです。リンゴはエチレンの発散量がとても多いので、柿の渋味を抜くのに有効なわけです。

人間関係においても、管理職がリンゴのような人ですと、組織というポリ袋の中にいる同僚、部下たちも次第に成功へと熟成していきます。よく言われる、「あの人がいるだけでパッと明るくなる」とか「あの人を見るだけで、こちらもなんだか自信が湧いてくる」というのは、まさに、これが人間のアレロパシーなのです。

人間の脳の機能には、出来ると思えば思うほど(出来ないと思えば思うほど)思い込みの量と質に比例した作用が、随意的、不随意的に対応する器官、組織、(皮膚・筋肉・骨格・神経・血液・体液等々)に連動反応しています。

ストレス効果であったり、反ストレス効果(エンドルフィン効果と呼ばれている)であったりします。ということは、思い込みという、精神作用いわば心の作用は、体の作用に連動している、逆に体の作用は心の作用に連動いると言えます。

これは出来ないというのは、やっていないということ、やっていないというのは、やり方が判らないということで、そのやり方を知ることが「学ぶ」ということであります。ここに「学ぶ」ことの大切さ!素晴らしさ!があります。いや喜びがあります。そして、この「学ぶ」ことは、何時、何処にいても、何をしても、目の前に、見えるもの、聞こえるもの、触れるもの、の中に在ります。それが意識するということです。

現在の記憶が過去であり、現在の想像が未来であれば、現在の今は意識です。この意識を活性化させることが「学ぶ」ということになります。何が判らないということよりも、判らないことが判らないのは、学ぼうという心思いが不足しているからです。何にでも学べると知れば、判らないことが判らないことはありません。そこから判ろうとする学ぶことの楽しみが始まります。