人間の心身を考える時には、やはりその心身・発生の時期から考えるべきでしょう。人間の身体は、たった1つの、大きさ0.2mmの受精卵細胞が、約10ヶ月10日間、200種類の細胞で分裂・増殖を重ね、脳を始めとして胃・腸・心臓・肺臓・肝臓・腎臓・脾臓等々各種臓器器官と、血液・血管・筋肉・骨・神経系等々の組織と、目・耳・鼻・口・舌・皮膚等々の感覚器等の、人間にとって必要な物が、必要なサイズで、必要な場所に、必要な数だけ、必要な時に、必要な期間で、分裂・増殖を重ねて、誕生時に人体のミニチュア・ワンセットの新生児として3兆個の細胞集合体と成り、引き続き分裂・増殖を重ねて、成人して60兆個の細胞集合体でできています。

そのたった1つの、細胞の分裂・増殖していくプロセスは、見事なストーリーを持ったドラマと言えます。そのドラマの中に、人間の生理・病理・薬理・健康の鍵が在ります。その鍵を取り出す道具が、医学を始め、自然科学・人文科学等々の学問です。いや学問だけではなく、昔からの言い伝え慣習や諺などがその道具となります。

そのたった1つの、細胞の中に、DNAデオキシリボ核酸があり、そのDNAの中に1.8メートルの二重状螺旋構造のテープがあり、そのテープに30億のインフォメーション遺伝情報が書き込まれています。その書き込まれ方は、そのテープ上の塩基ヌクレオチドに、遺伝暗号コドンの四文字の組合せによって書き込まれています。

そのコドンの四文字は、アデニン・グアニン・チミン・シトシンの四文字で、その組合せは、アデニンとチミン、グアニンとシトシンであり。それを転写コピーしているRNAがあります。RNAのコドンは、DNAのコドンのチミンとRNAのコドンのウラシルとが対応し、後はDNAと同じです。従ってRNAのコドンの組合せは、アデニンとウラシル・グアニンとシトシンの組み合わせと成ります。

その細胞の中に細胞核が在り、遺伝子と染色体でできています。俗に言うゲノムです。そのゲノムを囲むようにして細胞質があり、細胞質は100~200のタンパク質とRNAに細胞内小器官オルガネラの、小胞体・中心体・ゴルジ体・ミトコンドリア・リボゾーム・リソソーム・エンドソーム、そして、これらオルガネラの間を埋めている、多量の化学物質を含んだサイトゾルがあります。

これら全部を包むように覆っているのが、細胞膜で、細胞膜はタンパク質と脂質でできていて、両面・親水性、中心帯・疎水性の選択的透過性通路タンパク質で、チャンネル構造を持っていて、生命を維持するのに必要な、炭水化物・アミノ酸・ビタミン・ミネラルなどを取り入れ、不要なものを取り入れない、不要なものを排出するなどの機能を持って細胞外と区画しています。