骨は体液といった大海の中のサンゴのように、体の老化とは関係なく独立して生きているようで、確かに骨は、体内において別の生き物のように代謝を営んでいますが、一方では体液中のカルシウム濃度が低くなってくれば自分を溶かして体液にカルシウムを放出し、圧迫力が加われば自分を強くして圧迫にも耐えられるように鍛える等の働きもしています。すなわち骨は自分を養ってくれている体のことを気づかって、それに報いようとしています。体が重い方が有利なのは相撲取りの相手を押し出す時ぐらいで、同じ働きなら体重が軽い方が便利で、移動するのにエネルギーが少なくてすみ、腰や足の閲節を痛めることがありません。少しでも体重を軽くするために骨は中心部を中空にしています。

これが長管骨と言われる理由でもあります。長い棒状の骨については、中心部に骨をびっしりと詰めるよりも、管状にした方が効率的に強さを保てるのです。このことから、長い骨は中空を作って、そこに血液を作る骨髄を住まわせながら身体を支えています。空を飛ぶ鳥ではさらに軽さを求められるので、骨は可能な限り軽く、しかも強くするために、薄い皮質骨からなる中空状態となっている。骨が軽い方が体にとって有利であるといってみても、日常生活を営んでいるうちに折れてしまうほど弱いのでは何の意味もないので、骨の中には過重センサーが埋没していて、自分の骨をどの程度強くしなければならないのかを常に計測して、それに応じて骨に梁を入れ、カルシウムを沈着させているのです。例えば、水中を泳ぐ魚は浮力により体重を支える必要は少なく、ただ体をくねらせて泳げるだけの骨の強さがあればよいので、陸上の動物と同じ体重であっても、魚の骨はカルシウム量がずっと少なく弱くてもかまわない。しかし、大型化した陸上動物、とくに人間の場合は、体重を支え、走ったり跳んだりしても耐えられる強度の骨を備えて置かなければ生存できません。