細い骨は骨膜細胞・骨芽細胞の量に比べて修復する部分が少なく、治りの早い傾向が見られ、逆に太い骨は治るのに何週間もかかります。この現象を分かりやすく纏めて、骨折の部位の違いによる平均治癒日数が表にされています。それによりますと、指骨では2週間、中手骨(手の甲を形作る五本の短い骨)・中足骨(足の甲を形作る五本の短い骨)・肪骨では3週間、鎖骨では4週間、前腕骨では5週間、上腕骨・腓骨では6週間、上腕骨頸部・脛骨では7週間、大腿骨では10週間、大腿骨頸部では12週間で治癒するとされていますが、実際にはもう少し長引くこともあります。

頭の骨では、骨折後の治癒に加勢する軟骨性骨性化が生じないので、骨癒合が遅れます。その他、骨折した端と端がお互いに近づいていて、両方の骨折端を治癒まで静かに保っていれば、骨芽細胞の作業が少なくてすむので骨癒合が早まります。これらのことから、骨折後は両骨折端をよい位置に整復して動かないように固定することが、骨癒合を促進する大切な条件です。さらに可能ならば、手術をしない方が骨膜細胞を温存できるため早く骨折が治ります。