動脈硬化、肝臓病、糖尿病で高値に出る。

天ぷら油が古くなると悪臭が鼻をつきます。これは植物油に含まれているリノール酸などの不飽和脂肪酸が空気に触れて酸化し、過酸化脂質という有害物質に変質するためです。悪い油にあたると下痢や腹痛が起こるのは、この過酸化脂質が胃や腸の粘膜を荒らすからです。体の細胞の一つ一つを包んでいる細胞膜の主成分はリン脂質で、このリン脂質は不飽和脂肪酸から作られます。細胞が活動するには酸素を必要としますが、不飽和脂肪酸は体内でも酸素によって酸化されて過酸化脂質になりやすいという弱点をもっています。このため過酸化脂質は老齢化とともに多かれ少なかれ体内で増えてくるのです。老人特有の皮膚のシミはこの過酸化脂質とタンパク質が結合してできるとされています。もっとも数値の変化にしてみると、20歳前後の男性で3.4、女性で3.1ぐらいだったのが、中高年では4.0近くまで上昇するという程度で、過酸化脂質はめったなことでは高値になりません。したがって4.0を大きく超えるような場合は、糖尿病、肝臓病などを疑うべきでしょう。特に肝硬変、劇症肝炎などの重症の肝脑病があるときは著しい上昇がみられます。