心臓病の進行を予測する変化値のリストに、ごく最近発見された血液コレステロールを運ぶ粒子が加えられた。それはリポタンパク質(a)、または1p (a)と呼ばれるもので、その構成タンパク質はアポリポタンパク質(a)の血中濃度が上昇すると冠状心臓疾患の発生が増えるが、これは一つの独立した危険因子であり、血流中にあるコレステロールとは無関係に遺伝的なプログラムによって作られているように見える。またLDLと違って1p (a)の濃度は食物やコレステロール低下剤の影響を受けない。事実、心臓病を予测する独立の因子としての価値が非常に高いので、幾つかの検査室ではすでに1p (a)の検査の中に導入し始めた。

心臓病の予測に役立つほかに、1p (a)はアテローム性硬化と血栓形成機構との直接の関連を示しており、研究価値がさらに高い。事実、そのタンパク質構造の一部は、血管内にできた血の塊(血栓)を溶かす過程で働いているプラスミノーゲンというほかのタンパク質と似ている。両方のタンパク質の構造が似ているので、多分1p (a)はプラスミノー ゲンが本来の相手つまり血检と結合することを妨害し、そのために血检を溶かす作用を阻害するのであろう。

1p (a)は心臓発作を起こす二つのメカニズム、つまりアテローム性硬化と血检形成とに同時にかかわっている物質のよい例である。ほとんどの心臓発作は、冠状動脈のアテローム性障害がある場所に直接血检ができることによって起こるし、心臓宛作は年船とともに血液が塊を作る傾向が増大することに密接に関連している。この過程の詳しいことはまだよく分からないが、私達はこの-過程の様々な反応をはっきりさせようとしている。血の塊を作る最後の段階の鍵を握る酵素はトロンピンと呼ばれており、トロンビン合成の生化学的過程は、その生産を抑制したりその作用を組害したりする、幾つかの別々のシステムで制御されている。トロンビン活性を制御する役割を果たすたくさんのタンパク質などのうち、アンチトロンビン・へパリン・トロンボモジュリン・タンパク質Cなどがもっともよく研究されている。

ある種の脂質代謝異常は食事療法で抑えられるが、もっと重い状態になると薬による治療が必要である。幸いなことに、あらゆる型の脂質代謝異常を良く管理する薬剤、コレスチラミン、コレスチポール、プロブコール、ゲムフィブロジルなどがよく使われている。