よく聞くけれども、よくわからない。それが自己治癒力。
この記事はMediaDispatchの編集局からインタビューを受けた時にお話をさせていただいたものです。
自己治癒力について詳しく解説させて頂きましたので、ぜひ一度御覧ください。

MediaDispatchさんでは3週に渡って掲載されました。
http://media-dp.com/327/

 

自然治癒力で病気になりにくい体を創ろう!

井上先生(以下井上):私達は病気になるとすぐに、「なにかすぐ治る良い薬がないかなぁ?」と考えがちですよね。特にこの季節に流行る風邪も、すぐに薬を飲んで治そうとしますよね。そしてだいたいが抗生物質の入った風邪薬を選んでいます。でもその抗生物質が本当に効いているのかどうか、疑問も多くあるのです。

編集局(以下編):え、そうなんですか?いや実は私も風邪みたいな症状があって最近薬飲んでるんですけど…

井上:実は薬を飲んでも飲まなくても、風邪を引いている期間は同じだとも言われていますが、二次的な感染予防で抗生物質を飲んだほうが良い場合を除いて、通常の風邪の場合は薬を飲んで治しているつもりでも、実は身体が本来持っている自然治癒力で治っていることが多いのです。

:風邪を引いている期間が同じってまたびっくりしましたが、では自己治癒力を高めることが治すのに一番近道なんですね?

井上:ええ、本当なら体調の悪い時は体を休めるのが一番なのに、それをしないで薬に頼ろうとしがちなのが今の人たちなんですね。それは身体に治す力を発揮させない生活スタイル・・・例えばオーバーワーク、不規則な生活、栄養バランスを欠いた貧しい食生活、ストレスの多い状態等、自分の体をいじめるような習慣を捨てた時こそ、我々の自然治癒力が思いの他大きな力を発揮してくれるんです。

:そうなんですか、先生が挙げられた生活スタイル、私に全部当てはまってるんですが…(笑)

井上: 21 世紀になって病の原因菌から来る感染症に対する薬自体は、たいへん恵まれた状況にあるんですが、生活習慣からくる病は薬物のみに頼っても、決して治るわけではありません。社会問題にまでなっている、糖尿病、ガン、うつ病等は、原因の 100 %が、その人のおかれた環境が長きにわたって病駅 ( やまいえき) 行きの電車に乗ってしまったからなのです。さて今から健康駅行きの電車に乗り換えましょう。

:私、絶対に病駅行きの特急列車に乗ってると自分でも思います。

自然治癒力を活かす条件

編:先生、こんな私を含め、大体の人がストレス社会に生きる人たちです。どのようにすれば健康駅行きの電車に乗れるのでしょうか?

井上:人びとの環境はそれぞれ違い、現代社会は 24 時間稼働しているのでより複雑化を極め、一言で語るには難しくなっていますが、人としての原点はかわることはないのです。したがって、人間生命に共通している基本的な条件や鍵となるものを示すことで、人それぞれの立場で、自分自身でイキイキと生きる喜びのきっかけをつかもうとしなければなりません。

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井上:これらは生命活動の基本条件であって、さらに自然治癒力を高める必須条件です。この 4 項目はお互いに密接な相互関係と相互作用を持ち、我々の生命活動を支え、そして変化させています。
食事を正して病気を治した人、呼吸法を訓練して病気を克服した人、運動することで痛みから開放された人、心を見つめなおし前向きに病気と向き合った人。
このような人たちは結構いるはずです。次はそれぞれがどのように作用しあうかをお話したいと思います。

編:先生この図表はお互いが関連しあっているということなんですか?

井上:ええ、先程も言いましたが、これらは私達が生きていく上の基本条件なんです。詳しく説明するとこうなります。

 

食事(Diet Nutrition)⇔心の状態(State of Mind)
食事の仕方は「心の状態」と深く関わっているんです。それは思考を司る脳は常に多量の酸素と栄養を必要としているから、そこからの司令でその時の食性が変わるんです。例えば子供の非行・暴力・学力低下は食育で改善することが可能です。大人でも、例えば嫌なことがあって心が乱れている時、やけ酒、やけ食い、拒食になったりするでしょ?どちらが先というわけではありませんが、食事と心を両方から見つめなおすと、お互いに良い方向に向かうのです。

運動(Physical Exercise)⇔呼吸(Breathing)
人間は動物ですので、常になにか動いています。ようは毎日なにかの運動はしているのです。激しい運動をすれば、当然より多くの酸素が必要になってきます。そうなると呼吸の質を変えないといけません。
逆に言えることは、呼吸のコントロールをすることで、動きそのものの質と量を変化させることもできるのです。オリンピックに出場するトップアスリートたちはみんな独特の呼吸法を持っていると思います。

運動(Physical Exercise)⇔食事(Diet Nutrition)
運動の質が変わると必要となる栄養素が変わり、そうすると食事の内容が変化します。例えば瞬発力と持久力を身につけたい場合では食事に必要なものが違うのは理解できますよね?やはりその状態に見合った食事と運動を心がけることで、生まれる効果も変わってきます。

呼吸(Breathing)⇔食事(Diet Nutrition)
これに関わるのは血液なんです。
血液は体の免疫を保ったり、酸素を運んで老廃物を排出する役割を持っています。この血液も食事によって作られるので、食事の中身が血液の質を決定し、そして皆さんの体質の良し悪しを決めます。
また呼吸を深くゆっくり行うことで、酸素を肺の隅々まで送ることができ、赤血球に酸素を十分に乗せることができます。そうすると血液の質が向上するのです。
正しい呼吸は、自律神経の働きを整えるので食事を消化する内臓の働きを高めることにもつながります。

呼吸(Breathing)⇔心の状態(State of Mind)
呼吸はただ酸素を運搬するだけではなく、正しい呼吸法が身体にとって良い作用を産みます。まず吐く息に重点をおいて、ゆっくり深く呼吸をすることで、自律神経系の働きが整えられます。したがって内臓のバランスが整い、スムーズに働いているなら、内臓の疲れから来る不快感で心を悩ませることの緩和にもなります。
実は無意識にしている「息」とは、“自分の心”と書くように、心とは切れない関係があると考えましょう。不安や怒りで呼吸が浅く早い時は呼吸の仕方を意識して整えると心の安定に一役かってくれます。

運動(Physical Exercise)⇔心の状態(State of Mind)
運動という言葉を人間の行動とか動きとして考えた場合、何らかのスポーツで汗を流している間に、心が開放されて、やる気が出てきたりすることがよくあります。「運動」とは“動きの運び”と書きます。動きの運び方は心の運び方にも通じるのです。

 

自然治癒力を高める基本的条件

編:すごいですね、極当たり前にしてきている普段の生活に、こんな相関図があったんですね。呼吸法を整えるとか、運動しなきゃとかって、よく言いますけど、1つだけを気をつけてもだめなんですね。

井上:そうなんです。生命力を支えて自然治癒力を高める基本的条件というものは、実に平々凡々としたものです。内なる治癒力の発現は、私達が知らずにいつの間にか起こっていることなので、ある日突然「ふと気づいてみたら、前より良くなってる?」ということが多いのです。 でも、このアタリマエのことに、一番価値があるのですよ。生活の基本的条件に立ち返り、健康の根本的土台を変えることに真剣に向き合って取り組んだ時に、奇跡的な治癒力に出会ったりするのです。 では次に、良い体質を作る食のテーマを考えてみましょうか。

 

良い体質をつくる食とは?

井上:私達は知らず知らずの間に人それぞれの食の環境によって「体質」というものが決まってきます。

編:体質は生まれつきではなく、食べるものによって作られていくんですね?

井上:ええそうです。ですから時代が進むごとに食生活が変化し、今では日常的に世界中の食品が手に入るようになりましたよね。それと同時に化学物質の添加物の多い加工食品やファーストフードを食べるようにもなりました。そうすると昔と今では体質は当然変わってきますよね?

編:そう言われると、きっとぜんぜん違うんだろうなと思います。

井上:でも過去の歴史から連なって今になっていることを考えますと、日本人を始め他の国の人々も、ここはあえて民族と申しましょうか、それぞれの民族にはそれぞれの食性があり、それに応じた体質の傾向があることから、その国、その風土に昔からある伝統食を食べることが一番良いとされているのです。今後ますますグローバル化が進んでいくので、日々の生活で食習慣を意識しなければ、正食(正しい食事の摂り方)をしていくことはどんどん難しくなってきます。

編:確かに…今は流通が発達してるから人も物も簡単に行き来できる。昔と今を比べると全てにおいて、必要な時間が短くなっているから、体質が変化するのも速いんですよね。そんな現代においてどのようにすれば健康を維持する体質づくりをすることができるのでしょうか?

井上:そうですね、時代に逆らうのも難しいですから、次の3点を常に心の片隅において良い体質づくりを目指すようにしてください。

 

身土不二 -しんどふじ-
「私達生命ある身体というものが、私達をとりまく自然環境風土とは切り離されない一体のものである。」という考え方です。
私達の身体はその風土、その土地の自然からの恵みとしてできた食べ物をとることで、その環境に適応していけるようになっています。日本人は日本の伝統食をメインとすることをこころがけましょう。

穀菜食 -こくさいしょく-
「人間はその歯の形状からして、穀物を中心とする菜食が適している」という考え方です。奥歯の形は菜をすりつぶすために、たいらになっています。ペットを飼っている方がいらっしゃれば比べてみてください。犬や猫はもともと肉食ですので、奥歯まで尖った形をしています。お肉は美味しいものですが、やっぱり基本は菜食ですね。

一物全体 -いちぶつぜんたい-
「食べ物になるものは、もともと生きた全体としてあるもので、全体が一つのバランスのとれた栄養となっている。」という考え方です。
生きたものをまるごと食することで、いのちをいただくのが正食です。
日本語の「いただきます」にはそのような意味が込められています。

 

自分にあった健康法とは?

編:先生ありがとうございます。一見難しそうに感じますが、よく考えてみると、なんというか、当然なことでもあり、ほんとうなら普通に今までできてきたことなんですね。でもやっぱり健康でいたいと思う気持ちが次々と出てくる健康法を試そうとする方が結構いると思うんですけど、実際にはどうなんでしょうか?

井上:週刊誌やテレビとかで様々な健康法が紹介されていますね。でもその量が多すぎて矛盾に戸惑ったりしませんか?例えば「水をどんどん飲め」というのがあれば、「水はあまり飲まないほうが良い」など、完全に逆ですよね。(笑)これはどちらも正しくてどちらも間違っているのです。

編:どっちも間違ってる?それじゃ嘘ってことじゃないですか。

井上:いえいえ、そうとは言ってません。つまり先程もお話した「体質」の前提が抜けてるのですよ。1つの方法ですべての体質の人に効くはずがないのです。つまりその人の持つ体質というものに、その健康法がぴったりあっている時に初めてその健康法は効果を発揮することができます。まず自分の体質の特徴をよく知り、その健康法が本当に自分にあっているかどうかを見極めることが最も大切です。

編:なるほど、まずは基本的な生活を中心に、そして自分の体質を自分の目でしっかりチェックして、それからより健康な身体づくりを目指して実践していくのですね?

井上:その通りです。皆さんの体質を知ってこれからの健康に役立つように、次の表をプレゼントします。健康食品などを購入する時に、参考にしてみてください。

編:先生長時間ありがとうございました!

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