尿の教えてくれるもの

いつも尿量が非常に多い時は、脳の視床下部・下垂体の病気でホルモン分泌に異常がある尿崩症、精神的なストレスなどに原因のある心因性多飲症、インスリンというホルモンの不足によっておこる糖尿病、その他ある種のホルモン異常などを見つける手掛かりになる。逆に、いつも尿量の少ない人では、心臓の働きが悪くなるような病気、腎臓や尿管膀胱などに病気があるかも知れないという兆しである。排尿回数が多くて、排尿時に痛みがあり、残尿感があるようなら、急性膀胱炎かもわからない、すぐに医師に相談しよう。

急性膀胱炎を放置すると、膀胱の粘膜深く細菌が入り込み、抗生物質を短期間服用してもなかなか治らない慢性膀胱炎になったり、腎臓の中の腎盂賢炎になったり、ひどい場合は細菌が血液の中に入り全身を侵す敗血症になることもある。男性の尿道の途中には前立腺という臓器があり、男性では、前立腺の病気の時も、尿に異常をきたす。前立腺肥大症や前立腺癌の初期は、尿の出る勢いが弱いとか、尿の出る太さが細いなどの兆候がでる。病状が進行すると、排尿する体勢になっても、尿がしばらくしないと出なくなり、排尿の終わりにもチョロチョロと少しずつ出てなかなかおわらない、やがて、腹に力を入れないと排尿できなくなり、排尿が終わった状態でも、まだ膀胱の中に尿が残る状態になってしまう。尿の勢いにも、ときには注意して観察し、異常を感じたら医師に早めに相談すること。尿の色は、正常でも、薄い黄掲色の色がついている。この色は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの成れの果てであるウロピリン体という物質の色で、ウロピリン体の一日の生産量は大体一定量のため、尿量が多い時は尿の色は薄くなり、尿童が少ない時は尿の色は濃くなり、肝臓に障害があると、それらの色に加えて、濃い黄褐色のピリルビンという物質も尿の中に出てくるため、肝臓病の時の尿の色は、濃い黄褐色の色を示す。尿の中に血液が混ざることもある、濃い赤掲色を示したり、血液の塊が出るようなら、尿路の結石症や腫瘍も考えなくてはならない。尿が赤ぶどう酒色を示すボルフィリン尿症という代謝異常の病気もある、自分の尿を観察して異常が続くようなら医師に相談すること。