一度にあまり多くを詰め込んではいけないということは、ものを学ぶ場合の原則である。そんなことをすれば、試験のためににわか勉強した人なら経験があるように、自分の頭は混乱するだけである。

その人が一度にどれだけの量をこなすことが出来るかは、人によってそれぞれ異なっている。個人差が非常にあるからである。最も大切な原則は、もしなかなか頭に入りにくくなったとか、初めほど理解出来なくなったことを感じ始めたら、そこから先に進むのは止めたほうがよいということである。

考えるのを止めて、少し休むか、何かジャンルの違った活動をしてみるのである。ものを書くことには二つの目的がある。その一つは、それが一種の知的なコミュニケーションであることであり、もう一つは、それに使節的な役割を持っている。すなわち自分自身の延長であることである。それにも関わらず、ものを書くことの改善に関心を持っている人は少ない。ものを書くことに無駄な時間を費やしたり、書かれた内容がはっきりしないために間違った行動がとられたりするのは、それによって自分が何を言おうとしているかを事前によく考えて置かないことにある。ものを書くことの主要部分は「考えること」である。書く前に事実をつかんで置く。次いで何の目的でどのように書くかを決めることで、その文書で何をしたいと思っているのかをはっきりと心に描いて置かねばならない。