成人男性は約5Lの血液を持っています。その中には各種の細胞、すなわち『血球』が浮かんで多様な働きをしています。最も数が多いのは赤血球で、男性の場合は、血液1mm3立方ミリメートル中に約500万個も存在しています。赤血球は鉄を含む赤いタンパク質のヘモグロビンを持ち、酸素を運搬します。赤血球の寿命は120日と推定されていますので、毎秒250万個の赤血球が新たに造り出されなければならないことになります。

白血球はいくつかの細胞種から成りますが、その総数は、1mm3中に5000~8000個あります。白血球は細胞内に顆粒を持つもの(顆粒球)と、持たない(無顆粒球)に大別されます。顆粒球の主成分は好中球で、これは全白血球の65~70%を占めています。好中球は偽足を伸ばして細胞などを取り込んで殺してしまいます。顆粒中のミエロペルオキシダーゼという酵素が殺菌作用に役立っています。無顆粒球はリンパ球と単球に分類され、これらはそれぞれ全リンパ球の25及び5%を占めます。単球も異物を取り込み消化する力が強く、抗体の一種である免疫グロプリンG (IgG)に対するレセプターを持ち、IgGが反応して異物を取り込む点で好中球と区別されます。単球は組織内に進出するとマクロファージと呼ばれるようになります。リンパ球は、円形の核を持ち、細胞質は少ないが、免疫現象に幅広く関与しています。さらにこれは抗体産生細胞に分化する『Bリンパ球』と、主として細胞性免疫に関与する『Tリンパ球』に分類されます。これらの多彩な血球細胞はいずれも、骨髄中の多能性を持つ幹細胞から分化したものです。血球幹細胞は分化しても各種の血球を生み出すとともに、分裂して多能性を持つ幹細胞を再生産しています。

血液は、血球と呼ばれる小さい粒の有形成分と、衆養分や電解質を含んだ血漿と呼ばれる液体成分から成っていて、容積の割合は、血球が約4割、残りの6割が血滎と首われています。血液の働きは、細胞組織に酸素や栄養分を運んだり、交代に受け取ったニ酸化炭素や老廃物を運ぶだけではなく、細菌から体を守ったり、出血を止めたり、体温を觀節したりの様々です。

血液は、骨の内部に在る骨脑腔には骨髄がつまっていて、この組織で血球が造られます。そのため骨髓は造血器と呼ばれています。新生児では、全身の骨格で如液が造られていますが、成人では、椎骨・胸骨’肋骨に限られるようになります。造られた血液は、骨の中の毛細血管を通って外のla管へと送られます。骨脑では、赤血球とリンパ球以外の白血球、血小板が造られます。リンパ球だけは、主にリンパ節や脾臓(脾臓の尾側に接する)で造られます。

人の全血液量は、体重の約13分の1。体重50キロの人の体には、約4kg(4000cc)つまり一升瓶2本分の血液が流れています。

赤血球の寿命は100~120日間、古くなったものは肝臓や脾臓で破壊される。白血球は約2週間。鼻汁や膿は白他球の死骸。血小板は数日間。リンパ球は数時間の命です。