タンパク質は体の重要な構成成分で、その中でも特にダイナミックな働きをするのが酵素です。酵素は、その大部分がタンパク質でできていて、体の中の全ての活動の元になる化学反応のほとんどを制御しています。生体内では10億分の1グラムという小さい細胞の中で、数千という化学反応が整然と素晴らしいスピードで行われていますが、反応する相手を厳密に見分け、しかもその反応速度を1億から100億倍にまでスピードアップしているのが酵素です。

通常の化学工場での化学反応は、高圧高温で、強い酸性やアルカリ性のような過激な条件にしないと進行しませんが、人の細胞内では、酵素によって37℃、中性の温和条件でスムーズに進行します。このような働きをする酵素は、不可能を可能にする魔術師の様に見えることさえあります。多くの生命現象は、生化学的にみれば生前として酵素反応の連続で、病気の原因の一つは、酵素反応の乱れともいえます。

酵素はほとんどタンパク質のみからできていますが、ビタミンB群(B1・B2・B6・B12など)を含んでいるものもあります。この場合タンパク質単独でも、ビタミンだけでも全く効果はありませんが、この両者が結合することにより、酵素としての作用が現れます。この酵素の主役はビタミンであり、タンパク質はビタミンの周りを取り囲み、その働きを助けています。

この酵素群は、生体のエネルギー代謝に重要な役割を果たしているのです。ビタミンは生体内では合成されないので、食事として摂取する必要があります。摂取されたビタミンが体内で合成されたタンパク質と結合して、初めてその効果を発揮します。ビタミンとタンパク質が助けあって、見事な協同作業を行い、重要な役目を果たしているのです。

そして、遺伝子は生物の基本的な設計図ですから安定しており、突然変異などの特別な場合を除き、簡単に変わるものではないと考えられてきましたが、最近の遺伝子工学的な方法を用いた研究で、ある遺伝子は人の一生の間でもダイナミックに変化していることが明らかになりました。つまり、整体はありとあらゆる異物に対して抗体を作ることができ、人ではおよそ100万種類もの抗体を作ることができると考えられています。そのカラクリは、マウスや人の抗体の遺伝子を微生物に大量に造らせることにより、その遺伝子や周辺の暗号が解析された結果、まず生体は抗体の遺伝子を幾つにも分けて部品化しておき、それを必要に応じて自由に組み合わせて、計算上はなんと100億通りの抗体を造ることができるというのが明らかになりました。ついこの間目で何も知りませんでしたが、生体内で遺伝子組換えが自由に行われていたことになります。これが抗体を造るという特殊な細胞での現象なのか。それとも細胞が分化していく場合の一般的な現象なのか、これから会名すべき問題ですが、遺伝子は予想に反してダイナミックに変化しています。