もともと、慢性的な内科性病気に対しては、現在の医療では治りにくい疾患が実に沢山あります。アトピー性皮膚炎・癌・リウマチ・心臓病・高血圧症・アルツハイマー病・脳卒中・糖尿病・エイズ・パーキンソン病等々、いずれも難病で完治させるのは困難です。しかし、進行を遅らせたり、止めたりすることは可能です。

現代医療では、特定疾患にストレートに効果を上げることを目指しています。そして使用する薬は、一つ一つの病気に対して一つ一つの薬を処方して、効かせるというやり方ですが、これ対して東洋医学(漢方薬)は病気に対し幅広く効果を与え、副作用のない薬を追求しています。

西洋医学は自然科学としての医学の立場から、学問に裏打ちせた自然科学として今日の高度な発展を示しています。東洋医学(漢方)は、それと反対に数千年の時間をかげて積み重ねられて来た経験則に裏打ちされて来たもので、科学的・実証的な西洋医学との違いがあります。そのどちらにも是非善悪面はあります。

西洋医学専攻医師は、生化学的メカニズムの実証されている治療方法が唯一のものとしています。西洋医学と東洋医学の思考の差には、西洋医学に於いて欧米の科学思考に裏打ちされた医師の大半は、医療現場で学んだことが実証される、という考えが大前提になっています。

これとは逆に、東洋漢方医学では、特定症状に従っていても、病名を特定する必要がありません。漢方の適応症は生命全体だからです。その処方は、実証・虚証、その中間の証を決めて、それに従って薬が出されています。

中国では特定症状だけに特異的に効く薬、西洋医学の求める薬は、薬の中でも一番下級な薬(下薬)という概念になります。西洋医学では、こういう薬こそ高く評価されています。それは生化学的なメカニズムが理論的にも実証されているからです。わが国の厚生省もこの考え方に立っています。中国でいう上薬は、あらゆる症状に効く薬、万能薬であり、素晴らしいとされています。これは体の防衛機能を刺激し、体への色々な攻撃に対する抵抗力を高めて、人間が予め持っている自然治癒力を引き出す、副作用の少ない、全ての病気に効く薬なのです。

ところが現代医学はそういう何にでも効く薬は、まず厚生省が認可をためらいます。ある特定疾患に直接的に効く薬が認可対象になっています。癌に効く、また免疫失調疾患、アレルギー性疾患にも効く、こういうのは認可の対象になりにくいのです。

厚生省認可基準は、大変な時間を掛け、動物実験•毒性試験、そして人体への試験を終え、日本薬剤認可基準の第一相試験(人間に対して安全であるかどうか)第二相試験(効果があるかどうか)第三相試験(他の薬と比べて優れて効果があるかどうか)この三つの内、何にでも効く薬は、最初からパスするのが難しい。薬剤認可の誤った厳選状況です。