1. 概要
    慢性関節リウマチは、リウマチ様関節炎とも呼ばれる全身の結合組織の炎症性疾患であり、特に関節の腫脹、疼痛を主な症候とする。経過は、一般に慢性で、長期に渡り症状の悪化と軽快を繰り返す。また、長年月の間には関節の変形や脱臼などが現れてくる。
    本症では、一般に指関節など比較的小関節が侵されやすい。
  2. 原因
    感染説、肉分泌障害説、遺伝説、自己免疫説などがあるが、現在では自己免疫説が有力となっている。すなわち、何らかの原因により自己の結合組織に異常を起こし、その異常結合組織に対する抗体ができる。すると、共通抗原性を持つ結合組織、例えば関節の組織がこの抗体と抗原抗体反応を起こし、アレルギー性炎症性の組織障害を起こしてくるという考え方である。実際、慢性関節リウマチでは、抗体と考えられるリウマチ因子の存在が認められる場合が多い。頻度は約3%といわれ、男女比は1:3~4で女子がかかりやすい。慢性関節リウマチにはかかりやすい家系があり、このような家系では発病率が2~3倍も高い。
  3. 症状
    初期は、手指関節など比較的小関節の対称的な”こわばり”あるいは運動時の”痛み”が認められる。”こわばり”は特に朝に強く、午後になると軽快するので、”morning stiffness”と呼ばれている。関節の”こわばり”や”痛み”は、初めは不定期に現れ、特に気象等の変化に影響されることが多い。その後、除々に関節の”痛み”のほかにも発赤や腫脹も加わり、さらに進行すると、関節部の軟骨や骨の破壊を生じてくる。その結果、関節の変形や脱臼、さらには強直や筋肉の萎縮などが出現してくる。
    関節以外の症状としては、皮下結節が約20%にみられる。肘・手・膝などの関節周辺の皮下に表面が平滑な圧痛のない結節として触ることができる。循環器系障害としては、レイノー現象や心筋障害などがみられ、呼吸器系障害としては、胸膜炎やびまん性間質性肺線維症などが生ずることがある。神経系では、末梢神経障害としての知覚異常を認めることが多い。眼症状では、上強膜炎がもっとも多く、その外、皮膚症状、消化器症状、血液異常などが訴えられることもある。
  4. 慢性関節リウマチの診断基準
    症例                          判定                                               除外項目
    朝のこわばり          定期的な左記項目の認知     全身性エリテマトーデス
    関節の運動痛・圧痛       左記項目の5項目の認知     全身性エリテマトーデス
    関節の腫脹           ほぼ左記項目の3項目      高率LE細胞出現
    腫脹が他の関節にも認知     上記2項目は慢性リウマチ    結束性動脈周囲炎
    対称性関節腫脹         左記項目の6項目の認知     皮膚筋炎
    皮下結束の腫脹         左記項目の6項目の認知     確実な強皮症
    骨・関節の定期的X線変化     医師の確認が必要        リウマチ熱