人間を含む全ての生物が、何でできていて、どう成っているのかを細かく探っていくと、物質である原子で構成されている、化学物質の集まりであることが解ります。

生物の内部には、約36種類の異なった原子が含まれていて、それらが継続的に相互に作用し合いながら反応して、何千何万もの複雑な化合物を生み出しています。こうした生命の基本機構の働きを支配している原理は、原子どうしがお互い反応しながら繰り広げている、止むことのない動的な相互作用そのものです。それは、あらゆる生物が驚くほど複雑な化学装置であり、その装置が生物の根源的な部分には違い在りません。しかし人間には『単なる装置』を超える何かが存在して居るのか?いやその存在すら物質としての化学反応の振る舞いなのか?は生命現象に関わっている、物理学・化学・生物学だけではなく、自然科学・人文科学その他あらゆる科学の総合利用によって、今後に解明されて行くものと思います。

此処では、現在解っています生命現象の装置としての基本構造を再認識して頂いて、その生物の生命活動を支えている化学物質達の相互反応作用の一端を覗いて、それぞれに楽しい仮説を描いて頂きたいと思います。

人間の体が60兆個の細胞でできていることは、常識として一般に知られています。その全ては、たった1個の受精卵細胞が細胞分裂を繰り返して生み出されたものです。その1個の細胞が成長して『有糸分裂』と呼ばれる過程によってニ個の細胞に分裂して、この過程で元の細胞のDNAが複製され、そのコピーが2つの娘細胞のそれぞれに渡されます。この2個の細胞はまた成長して、それぞれが分裂して、合計で4個の細胞になり、さらにそれぞれの細胞が成長分裂して…という形で続けられます。