骨の電位とカルシウム結合については、実際の患者の骨で説明できる現象も見られる。例えば骨折後「く」の字形に曲がった長管骨が盤がった場合、「く」の字の内側は常に圧迫されているので、新しい骨が内側に作られ、一方、外側の骨は解けて行き、やがてはまっすぐな骨になります。これは曲がった骨癒合状態の外側に伸ばされる力が働くので、プラスの電位が発生してカルシウムが逃げて行くものと考えられます。また骨折が思うように繋がらない遷延治癒骨折に対して、弱い電位を発生するような装置を使って骨癒合をうながす方法も実用化されています。

以上のように、骨に過重がかかると、骨の中の血液の流れが良くなるために骨を作る細胞が働き、また弱いマイナスの電位が発生することにより骨の中のカルシウム量が増え骨が強くなる。この働きは先ず、素晴らしい過重センサーで負荷がキャッチされて、それに骨が迅速に応えるといった形に進むのです。まさしく骨は、静かな生き物であると言えます。骨は生きているから、成長とともに太く大きくなること、負荷により強くなったり弱くなったりすること、などを通して、体の屋台骨として期待に応えています。骨自身の強さのためだけではなく、体の他の組織にも大いに役立ち、それは、血液中のカルシウムの濃さをコントロールするために、骨を溶かし、また骨を作る作用であります。