脂肪肝は、肝臓に過剰な脂肪が溜まる病気です。健康な肝臓にも脂肪は蓄えられますが、正常な割合は、肝臓全体の5%ぐらいまでです。肝臓に、それ以上の過剰な脂肪が溜まった場合が脂肪肝で、脂肪の割合が10~30%なら軽症、30~50%なら中程度、それを超えると重症と診断されます。

脂肪肝は、かなり重症になっても目立った自覚症状は出ません。しかし放置しておくと、肝硬変に移行する可能性があります。脂肪肝の原因は食べ過ぎで、特に脂肪、糖、アルコールの摂り過ぎが大きく影響します。人間の体の脂肪は、食べ物に含まれた脂肪分のほか、糖分やアルコールからも作られるからです。食物の中の脂肪分は、消化管で脂肪酸に分解されて吸収され、血管に入って血流で肝臓に送り込まれます。脂肪酸は肝臓で脂肪に再変換され、さらにリポタンパクに変えられてから血液中に放出されます。そして体のあちこちに栄養素として運ばれるわけです。しかし脂肪を摂り過ぎると、放出しきれない分が肝臓に溜まってしまいます。糖分やアルコールは、消化管でブドウ糖に分解されて、肝臓に送られます。ブドウ糖はグリコーゲンに変換され肝臓に蓄えられますが、多すぎると脂肪になって、肝臓内や皮下などに溜まります。

食べ過ぎ飲み過ぎのほかに、血液中のブドウ糖の濃度が高くなる糖尿病も、よく脂肪肝の原因になります。脂肪肝は、ほとんど自覚症状がなく、際立った病害も現れません。しかし放置していて肝硬変に移行すると、肝臓の機能が大幅に衰え、深刻な事態になります。

肝硬変は、肝細胞が線維化し、肝臓が硬くなっていく病気です。線維化が進むと、肝臓の血液の循環が悪くなり、肝機能が低下して、むくみ、黄疸、吐き気、脱力感などの症状が起こります。病状が進むと、全身の腺器、器官に悪影響を与え、意識障害や肝臓ガンなどを誘発する確率が高くなり、脂肪肝を治すことは、その肝硬変を予防する意味がある。