食事療法を土台とした効果的な診療方針を立てる事。

糖尿病の治療の要点は、異常になった糖の代謝(体内処理)を正常に戻すこと、つまりインスリン不足で過剰に増えた、血液中の糖を減らすことです。治療法には、食事療法、運動療法、薬物療法などがあります。

この治療法のうち最も重要なのは食事療法で、糖尿病治療の土台とも言えます。運動療法は、食事療法を補助するものです。また薬物療法は薬の効果を活かすだけでなく薬害を避ける上でも食事とは切り離せない重要な関連があります。そのため糖尿病の診療では、初診の時に先ず適切な食事療法の計画を立て、それにほかの二つの療法を組み合わせるという順序で、相乗効果が上がる治療方針を立てる必要があります。

個々の患者に適したきめ細かな食事指導が必要で、食事で摂るカロリーを制限し、血液中の糖を減らす治療法を考えるべきです。体内で余さず処理出来るカロリーの量は人によって異なりますから、食事療法では問診で食習慣を確認し、患者それぞれのカロリーの処理能力に応じたきめ細かな食事指導を受けることです。カロリー計算も1日単位などではなく、個々の患者の食事1回あたりのカロリーの適量に基づいた3食全てに偏らない食事管理のアドパイスを受けることです。

薬物療法のインスリン注射や、血糖降下薬の錠剤が使われるが、これについて十分な説明を受けること。例えば、インスリンを注射した後や、血糖降下剤を飲んだ後に食事をしないと、血液中の糖が極端に減り、最悪の場合は昏睡状態から死に至ります。医師はそうした事態を防ぐため、薬の作用と食事の関係を説明し、それに基づいた血糖降下剤の適切な飲み方などを、的確に伝える必要があるわけです。また合併症の有無の定期的なチェックを必ず受けること。糖尿病の発見が遅れたり、治療を怠ったりして、血糖の濃度の高い状態が続くと、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、それに無痛性の心筋梗塞などの合併症が現れる確率が高くなります。とにかく医師に質問すること。

こうした合併症は重症になると、尿毒症、失明、治りにくい壊疽など、深刻な事態を招く可能性があるため、定期的にチェックして早期発見、治療を心掛ける必要があります。

チェックは、次のような方法で行われます。

腎症は、尿中のタンパク質の検査。
網膜症は、眼底の動脈瘤や出血の検査。
神経障害は、振動覚検査(音叉を足音の関節などに当て、振動を感じる感覚を診察する検査)。
無痛性心筋梗塞は、負荷心電図の検査。